嫌な気分を解消するために

カウンセリングやリラクセーション法などがあります

嫌な気分を解消するための手段には、カウンセリングやリラクセーション法などがあります。いずれも、患者さんが持っている潜在的な力を引き出すための方法です。心の専門家は様々な手段やコミュニケーションを通し、患者さんが自分で危機を乗り越えるお手伝いをしているのです。

カウンセリング

誰でも、ストレスで気持ちが落ち込んだときに人に話を聞いてもらうだけで、気持ちが軽くなった経験を持っているのではありませんか。カウンセリングはこの効果をさらに強めたもので、がんに伴う不安や喪失感、抑うつ感を医師や臨床心理士とのコミュニケーションを通じて、軽減することを目的としています。

カウンセリングでは、ご自分が気になっていること、話したいことを話してください。感情を言葉にすることで、心が整理されることもあります。

参考資料

  • 明智龍男:がんとこころのケア,pp.112-116,日本放送出版協会,東京,2003
  • 国立がん研究センターがん対策情報センター編集・発行:がんと療養シリーズ.がんと心,p.10,2007

リラクセーション

●筋肉の緊張-弛緩反応を利用して、リラックスしましょう

気持ちが緊張しているときは、身体も緊張しています。リラクセーション法はこれを逆に利用して、身体の筋肉をいったん緊張させた後、いっきょに弛緩させることをくり返すことで、全身に弛緩状態(リラックス状態)を拡げる方法です。がん患者さんに有効で、寝付きが良くなる、痛みを間接的に軽くするなど薬物療法と同じ程度の効果が確認されています。

また、リラクセーション法のメリットは専門家に指導を受けた後、、自宅でも気軽にできる点でしょう。毎日の習慣として続けていくうちに、心身が落ち着いていきます。通院先で指導を受けられない方は、下のイラストを参考にしてください。

●自宅でできるリラクセーション法

参考資料

  • 日経メディカル編集:がん患者さんの心と体の悩み解決ガイド,pp.90-91,日経BP社,東京,2007
  • 明智龍男:がんとこころのケア,p.122,日本放送出版協会,東京,2003
  • 国立がん研究センターがん対策情報センター編集・発行:がんと療養シリーズ.がんと心,p.11,2007

補完代替療法

●三大療法を補完する効果が期待されています

近年、アロマセラピーやマッサージなど補完代替療法への関心が高まっています。しかし、がんの治癒や縮小効果についての科学的根拠はほとんどありません。補完代替療法はあくまでも、がんの三大療法(手術、抗がん剤治療、放射線治療)を「補完」する治療法なのです。決して、三大療法に代わるものではありません。一方、補完を目的とした場合はアロマセラピーやマッサージなど日本緩和医療学会のガイドラインで効果が認められているものもあります。参考資料として、厚生労働省の研究班による患者向けの「がんの補完代替療法ガイドブック(第二版)」が下のホームページからダウンロードできます。どうぞ 、ご利用ください。

参考資料

  • 明智龍男:がんとこころのケア,pp.194-198,日本放送出版協会,東京,2003
  • 厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班,厚生労働省がん研究助成金「がんの代替医療の科学的検証に関する研究」班編集・制作:がんの補完代替医療ハンドブック 第2版,p.2,2010

アロマセラピー/マッサージ

●リラクセーション効果でがん性疼痛を緩和

アロマセラピーは精油(エッセンシャルオイル)を使って、香りを楽しむことで、リラクセーション効果を誘い、症状の緩和を図る治療方法です。緩和医療学会の補完代替医療ガイドラインでは、マッサージと組み合わせた場合、がん性疼痛や吐き気の緩和やリラクセーション効果などが期待され、有効な補完代替医療の1つとされています。

一方、副作用として精油成分による皮膚症状やアレルギー反応などがあります。精油を使用する前にアレルギー反応テストを行いましょう。また、使用の際は担当医とよく相談してください。

参考資料

  • 厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班,厚生労働省がん研究助成金「がんの代替医療の科学的検証に関する研究」班編集・制作:がんの補完代替医療ガイドブック 第2版,pp.31-32,2010

鍼灸治療

●痛みや吐き気、手足のしびれなどを和らげます

米国の統合腫瘍学会が2007年に発表した「がんの統合医療ガイドライン」では、がんの痛みに対する鍼灸治療が推奨されています。鍼灸治療の目的は、がんの痛みや息切れなど身体症状の緩和や精神症状、生活の質の改善など補完的な利用ですが、いくつかの研究では抗がん剤治療に伴う吐き気や手足のしびれなどの神経症状を和らげる効果が報告されています。鍼灸治療の目的は、あくまでもがんに伴う心身症状の軽減であり、がんそのものの退縮を目指すものではありません。

鍼灸治療のまれな副作用として、内出血があります。健康なときは問題ありませんが、抗がん剤の影響で出血傾向がある場合は注意が必要です。また日本国内では、がん補完代替医療としての鍼灸治療はまだ研究途上にあり、がんの病態に精通した鍼灸師が少ないなどの課題もあります。鍼灸治療に興味がある場合は、緩和ケアチームの担当医やがん診療連携拠点病院
がん相談支援センターで鍼灸師を紹介してもらうとよいでしょう。使用の際は担当医とよく相談してください。

参考資料

  • 厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班,厚生労働省がん研究助成金「がんの代替医療の科学的検証に関する研究」班編集・制作:がんの補完代替医療ガイドブック 第2版,p.19,p.35,2010

臨床心理士/りんしょうしんりし

財団法人・日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格を持つ心理士を指す1)。傾聴や共感などの支持的精神療法や、否定的な思考のゆがみを修正する認知行動療法などで「こころ」の問題にアプローチする専門家。診断や薬の処方はしない2)。


参考:1)日本臨床心理士資格認定協会HP
2)小早川誠 第Ⅳ章緩和ケア3. 緩和ケアチーム.:専門医のための精神科臨床リュミエール24. サイコオンコロジー,大西秀樹責任編集,pp.177-188,中山書店,東京,2010

精油/せいゆ

別名、エッセンシャルオイル。植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の有効成分。植物の種類により独自の香りと機能を持ち、アロマセラピーの基本となる。


参考:社団法人日本アロマ環境協会による定義から一部改変

緩和ケアチーム/かんわけあちーむ

がんの分野において「緩和ケア」とは、がん患者の療養生活の質(QOL;quality of life)の向上を目指し、がんの痛みなどの身体的苦痛、不安や抑うつなどの精神的・心理的苦痛、これからの生活や人生に対する悩みや怖れなどの社会的苦痛・経済的苦痛・スピリチュアルペインといった様々なつらさを和らげることをいい、これらを行う専門家チームのことを「緩和ケアチーム」という。身体的苦痛を和らげる緩和ケア医、心の専門家である精神科医、心療内科医、緩和ケアの経験のある看護師や薬剤師が核となり、必要に応じてソーシャルワーカーなどが加わる。がん診療連携拠点病院では緩和ケア病棟もしくは緩和ケアチームを設置している。


【緩和ケア病棟のある病院の情報】
http://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/
fKanwaCareIchiran?OpenForm
参考:国立がん研究センターがん情報サービス より一部抜粋、改変

がん診療連携拠点病院/がんしんりょうれんけいきょてんびょういん

全国のどこでも「質の高いがん医療」を受けられることを目指し、都道府県の推薦をもとに各都道府県や地域のがん診療の中核病院として指定された病院。セカンド・オピニオンとして利用しても良い。

がん相談支援センター/がんそうだんしえんせんたー

全国のがん診療連携拠点病院に設置されている「相談窓口」で、病気のことや治療方法、治療後の生活、医療費などがんの療養に関する様々な悩みや不安について相談を受け付けている。相談は無料で、がん診療連携拠点病院で診療を受けていない方も利用できる。